Monkey Guitar Instruments Lab.

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Monkey Blue Drive

monkeybluesdrive

MonkeyBlueStoneのゲインを上げ、オーバードライブっぽいサウンドに仕上げました。 個々のギターの高調波成分をより強調するようにバンドパスフィルタの特性を調整し、 ギターの特徴がよく出るエフェクターです。

ジャキジャキとした感じから低音のブーッとしたブースト感溢れる感じまで、 COLORコントロールで調整できます。
実験経過のレポートと、サンプルサウンドは 下のリンクからどうぞ。

mbd_kiban

コンデンサはいつものMallory150'sを使用、抵抗はアーレンブラッドレーの1/4W NOS品を使いました。JFETはJ201、オペアンプはTL072です。ワイヤーはWestern Electricの 20AWG品を使用しました。

激烈な歪みは得られませんが、フェンダーのビンテージアンプをドライブしたような、 乾いたサウンドが特徴です。ストラトのフロントピックアップまたはテレキャスの フロントピックアップがベストマッチだと思います。
fender派のあなたは自作する価値 ありです!!

回路図はこちら

実験レポート
NEWエフェクターの実験開始!!(2005/10/21)

コンセプトを考える

新しいエフェクターをいきなり設計する前に、そのエフェクターのコンセプトを 考えましょう。目標をはっきり決めておけば、最終的に自分で作ったエフェクターが、 これでいいんだと思えるようになります。

今回のコンセプトは、今まで見たこともない回路にトライする!ということと、 心地よい歪みです。音に関しては、SRVのような渋いひずみからハードロックの図太い 歪みの間のところを目標とします。

今まで見たこともない回路って?

インターネット上に溢れている一般的なダイオードクランプ形式のディストーション 回路を使わないと宣言してしまいましたので、それ以外のどんな回路に新しさがあるか 考えて見ます。

ダイオードクランパ形式のディストーション回路は、下図の様に音の信号波形を クリッピング(頭打ち)することで、元の原音に対し高調波成分を増加させ歪ませます。 (波形をクリッピングするとなぜ高調波成分が増えるかは、フーリエ級数の概念が必要と なりますので、ここでは書きません。)

crip_1

ダイオードクランプの基本的な原理は上の図のような単純なもので、実際に これでエフェクターを作りますと、歪みます。BlackMonkeyDistortionも心地よい歪みが 得られています。しかし、コラム集の解析レポートの実際の波形を見てみると、 図のようなサインはではなく、もっとグチャッとした波形です。普通にダイオード クランプを施しただけでは、せっかくの高調波成分が台無しになってしまうのでは ないでしょうか?

crip_2

そこで、ダイオードクランプによる歪み回路でも、高調波成分と原音を分けて それぞれ歪ませ、その後合成することで今までとは一味違ったディストーションが 得られるのでは?と考え、新しい回路設計にチャレンジしました。

新しい回路について

上記の設計思想を元に、回路を作成しました。バンドパスフィルタを2つ用いて 1kHzを境に低周波側と高周波側に分け、それぞれをダイオードクランプで歪ませて います。結果的には、MonkeyBlueStoneにダイオードクランプを追加しただけと なってしまいました。周波数特性の調整は、エクセルにて行いました。

今回は歪ませるのが目的のため、バンドパスフィルタのゲインをMonkeyBlueStone よりもあげました。

さらに音の信号の合成について、二つ目のバンドパスフィルタに入る信号を 入れ替えられるように二つ用意しています。(図中OR部分)音の気に入った方で、 どちらかを選択しようと考えました。また、合成の部分には、可変抵抗20kBを使用し、 高調波成分と原音のブレンド度合いを調整できるようにしてあります。

実験回路図はこちら
エクセル例はこちら

実験回路の作成

回路図が出来上がったら、一度実験回路を組んで音の評価をして見ます。

mbs2_jikken

実験基板は、使わなくなった自作エフェクターのBOXから無理矢理線を引っ張り出し 接続しています。使用部品も、壊れても問題ない安物のコンデンサや抵抗を使用する ようにしています。しかも実験基板は、すべての素子を置き換えられるように ピンを使用し作成していますので、素子の入れ替えや調整も簡単です。マルチメータで DC電圧チェックをしたら、いよいよ音だしです。

こ、この音は!?

早速音だしをしてみると・・・

枯れたディストーションサウンド!!歪みはそれほど大きくなく、ハードロックという よりはブルースギターの歪みに近いですが、気持ちいい枯れ方です。ストラトで試奏 しましたが、フロントピックアップのサウンドがベストっぽいです。テレキャスも相性 グッドです。fender系のシングルピックアップにマッチするようです。

音の深みは少し物足りなく、これは使用している部品によるものだと思いますが、 またサスティーンもまだ調整の余地ありです。

今日の感想

Fender系のビンテージアンプのあの音をどうやって再現するのかいろいろ試行錯誤 しながら実験していましたが、昨日までは半分あきらめていました。しかし、今日の 実験の結果から、その音のでき方がわかったような気がします。

まだまだ歪みが満足のいくものでなく、また調整箇所もあると思いますので、 引き続き実験して行こうと思います。また、サウンドや波形もUPしていきたいと 思います。

実験レポート
Monkey blues Driveの調整 (2005/10/29)

部品の変更

mbd_kiban

前回の実験に使用した部品は動作確認用でしたので、エフェクターを完成させる ため、実際に使用する部品に変更します。今週部品が集まりましたので、実際に それらを付け替えて音を試聴してみます。

コンデンサ0.1uF以下はMarolly150's、抵抗は、アーレンブラッドレーNOS品1/4W、 0.68uFのコンデンサはPhilips製TropicalFishとしました。JFETはJ201を使用、 オペアンプはTL072を使用しました。

サスティーンの改善

サスティーンを改善するため回路図を見直すと、一点回路インピーダンス的に まずいところに気がつきました。ロングサスティーンを得るには低音から高音まで 幅広い周波数帯でゲインをあげなければなりません。なぜなら、ギターの音として 最後まで伸びるのは一番音の構成成分として大きい原音だと思うからです。

ピッキング直後のサウンドは高調波成分が良く混ざっていますが、ずっと音を 伸ばしているとそれら高調波成分が小さくなっていき、最後まで残るのが原音と なります。ボオォーンという音を想定すると、高調波成分を含んだ音は、"ボ"です。 原音に近づくのは"ォーン"のところです。

原音は、エレキギターの場合数十Hzから数kHzまで出すことが出来ますので、 広い周波数帯でのゲインアップが必要となるわけです。

下に掲載している回路図を見てみると、オペアンプで構成しているバンドパス フィルタの手前に0.1uFが挿入されていますが、ここの部分はインピーダンス的には 低くなければならない場所です。(2.2kΩのところ、高いインピーダンスは数百kΩ、 低いインピーダンスとは数kΩ程度と想定しています。)しかし、0.1uFでは 低周波側のインピーダンスが高くなってしまいます。ここのインピーダンスが高く なると、後段のバンドパスフィルタのゲインを下げてしまいます。そのため、 原音のとおりが悪く、期待通りのサスティーンが得られていないのでは?と気が つきました。

回路的には、2.2kΩの後段にバンドパスフィルタ用のコンデンサが挿入されており、 2.2kΩの手前でACカップリングしDC電圧を除去しなければならない理由もないので、 ここのコンデンサは、取り外しました。また、2.2kΩ後段の10kΩは、バンドパス フィルタのゲインを下げ、さらに周波数特性にも影響がないことがわかったので、 取り外しました。

最終回路図はこちら

最後は耳で調整

実際にギターを弾いてみて薄っぺらい音になっていないか、低音と高音が程よく 混ざっているかの確認をしながら、バンドパスフィルタのコンデンサの値を調整 しました。

このような感じで、枯れたエレキギターの音を残しつつサスティーンを出来るだけ 伸ばし、低音と高音をブレンドさせることの出来るMonkeyBluesDriveの回路・部品 構成が完成しました。この状態でのサウンド等聴いてみて下さい。

MBD_strat_frontサウンドはこちら
MBD_strat_front_2サウンドはこちら
MBD_tele_frontサウンドはこちら
MBD_tele_front_2サウンドはこちら

今日の感想

回路設計のミスに気がつき、修正することが出来ました。 STRATのフロントピックアップの音は、まさにSRVのあの音に近いと思います。 TELEのフロントピックアップもなかなか味のあるトーンを出しますよ。 あまたあるオーバードライブ系のエフェクターの中でもこの音を出せるのは、 なかなかないのではないでしょうか?

興味ある方、STRATが大好きなあなた!、ぜひ一度自作してみてください。

実験レポート
Monkey Blues Drive(MBD)を解析しました

MGILの自信作モンキーブルースドライブ(以下MBD)を解析して見ました。 今回は、アンプとマイクを通さずギターとエフェクターでキャプチャーに入力しています。 特に枯れた音になるストラトとテレキャスで試してみました。

mbd_strat_front mbd_tele_front

上の図がストラトにMBDを使用した波形と周波数分布で、下の図がテレキャスに MBDを使用した波形と周波数分布です。まず第一にダイオードクランプされた基本波に 高調波成分がのっており設計どおりに仕上がっていることが分かります。

特徴的なのは、ストラトとテレキャスの高調波成分の違いが消えずに増幅されて いる点です。テレキャスは偶数次高調波成分が低いのに対し、ストラトは全高調波が 均等に増幅されています。

普通のオーバードライブやディストーションペダルでは、信号の基本波成分を 第一に増幅しダイオードクランプしてしまいますので、高調波成分が消えてしまいます。 これに対しMBDではまず高調波成分と基本波成分を分けて互いに別々に増幅し ダイオードクランプで高調波を増幅した後に結合していますので、高調波成分が 消えてしまうことがありません。そのため、使用するギターによって特徴が現れる ドライブサウンドとなります。


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